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『べらぼう』そうきたか!が蔦重の真骨頂――老舗に敗れて見えた”才能の正体”によって開ける未来を考察【前編】

『べらぼう』そうきたか!が蔦重の真骨頂――老舗に敗れて見えた”才能の正体”によって開ける未来を考察【前編】:2ページ目

北尾重政は、「いくら絵師の腕がよくても、発注側は出来上がりの色合いのイメージをしっかりとイメージし、それをを摺師にきちんと正確に “指図”することで、出来栄えに大きな差がついてしまう」ということを蔦重に教えます。

今までの蔦重のビジネスを振り返ると、「これ!と見込んだ相手(絵師・戯作者・彫り師など)に対しては、相手にお任せであれこれと細かい“指図”はしない」やり方だったように思えます。

以前、彫師・四五六(肥後克広)の家を訪ねた時、地本問屋たちは非常に偉そうな態度だったのに対し、蔦重は丁寧に接していたのを思い出します。自分が作れるのではないので、クリエーターに対してはリスペクトを込めた態度で接する……それが蔦重のポリシーなのかもしれません。

今回の話は、「老舗の西村屋にはかなわなかった」だけではなく、売れる本作りとはアイデアや絵の上手さだけではなく、意図を職人にきちんと伝える正確な“指図”が必須なのだということを、蔦重も歌麿も学んだ成長回でした。

試行錯誤を繰り返しながらもとどまったり諦めたりせず、前へ前へと挑戦していく蔦重にとっては、いい学びとなったのでしょう。

3ページ目 違うジャンルの作り手に別の仕事を「指図」する

 

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